コレクション
山口酒造場
9個の商品
『地酒』と言われるからには、長い歴史を経て根付いた筑後地方の素材で造りたい。 古賀 剛 杜氏(以下、古賀さん)は原材料へのこだわりを語ってくれました。 「今まで日本酒業界は『なぜ地元の素材を大事にするのか?』という部分を蔑ろにしてきたのかも知れません。地元への感謝も含めて、今後も地元の素材を大切にしていきたい。正直、水と米以外は変えても良い。とも思っています。」 製法は時代に合わせて変えていっても、地元の素材にはこだわりたい。という古賀さんの想い。 「『昔からこうしているから、こう造るんだ』ではなく、『こういう味を作りたいから、この素材でこう造るんだ』と思って酒造りをしています。」 甘くても辛くても良い、一杯で美味しいで終わらない、飽きのこない、おかわりしたい酒を造ろう。それが山口酒造場が掲げるずっと変わらないスローガン。 「透明感の先にフッと旨みがある。そんなお酒。 料理を凌駕するような美味すぎる酒は「庭のうぐいす」の目指すべきゴールではありません。 「料理に合う飲みやすさを、作り手の計算により生みだしています。」 日常の中で日本酒が楽しまれるように 「今までは、『美味しい小料理屋で地酒を楽しむ』ということが、これからは、『家でも美味しい料理に合う日本酒を飲む文化』になると思いますし、そんな未来を作っていきたい。 「昔は、10年かけて学んで独り立ちと言われる酒造りでしたが、今は、もっと早く独り立ちしてほしいのもあり、感覚も大事にしつつ、機械導入・効率化できることへの改善はどんどん進めています。」 昔は温度管理の関係上、冬場にしか造られていなかったお酒も、山口酒造場さんでは、酒造場そのものを冷蔵庫にすることで、長い期間造ることができる様になりました。 「最後は職人の舌も大事です。だから、測れるものは測ることで効率化ができます。」 現代の消費者の趣向変化に合わせ、山口酒造場ではひとつひとつ手間暇かけて造れるように設備を一新し、少量多品種を生産できるようになっています。例えば、飲食店を応援するために、飲食店でのみ提供する少量しか造らないお酒というのもあります。 「今、老舗として自分たちが求められているのは『深さ』どれだけ掘り下げられるかを考えています。掘り下げることで、新たな展開がうまれてくるのだと思います。」 「創業200年を目指して」というよりも、今まで積み重ね研鑽してきた酒造りをやめないことが大切です。 昔から変わらず地元の原料にこだわる一方、昔ながらのやり方を頑なに守るだけではなく、常にお客さまに「美味い!」と言っていただくための酒造りを。というこだわりは、梅酒「鶯とろ」が日本一に輝きながらも、日本酒に軸をおく酒蔵であり続ける姿勢にも表れています。 創業:天保3年(1832年) 〒830-1122 TEL:0942-78-2008 FAX:0942-78-5233 営業時間:8:30~17:30(平日) 公式サイト:https://niwanouguisu.com『お酒を通して、
自分の住んでいる地域、
地元を楽しんでほしい』
古賀さん自身、先人から手段を習うというよりは、境遇的に自身で学んでいかなければならなかったという経験があるそうです。『飲み飽きしないお酒を作っていこう』
『おかわりしたいお酒を作っていこう』
では、杜氏である古賀さんが考える『飲み飽きしないお酒』とは?
例えば、マグロの中トロのように最初の一口から「絶対うまい!」という強烈なインパクトの旨みではなく、白身魚の「噛むほどにジワジワくる うまい。」そんな感じを目指しています。」職人が思う『庭のうぐいす』の
魅力とは?
料理に合う、食と合わせて『美味いな!』となるお酒であることを大切にしています。
ハレの日だけじゃなくて、日常の中で日本酒が楽しまれるように。」
機械の導入は、山口酒造場のお酒を求める方々の元へ安定して届けるためでもあるのです。『創業200年に向けて』
庭のうぐいすに期待を寄せてくださっている方々のために、常により良いものを造ることを大切に、動き、考え続けたい。それをやめちゃうと、新鮮味もなくなります。
恐れずに、常に新しいことを取り入れながら理想の味を追い求めていきたい。」現場でのこだわり
長い歴史を経て根付いた
筑後地方の原料で造る。
仕上げるのは職人の技術
酒蔵情報『山口酒造場』
合名会社 山口酒造場
福岡県久留米市北野町今山534-1
繁桝
18個の商品
福岡県八女市に300年以上続く蔵元。居酒屋・スナックの数が人口比率になると全国トップクラスの八女では、店先に「繁桝」のロゴをいくつも目にします。 十九代蔵元・代表取締役社長 中川拓也さん(以下、中川社長): 地元・筑後平野のお米と矢部川の伏流水を使い、原料に至るまで地元産へこだわり造られたお酒は、当然、地元の食材に合う味に出来上がります。そこからさらに、地元に愛される味への探求を欠かさないことが、地元で永く愛されている理由です。 また、地元の酒店さんを守るため直販はしないという高橋商店。八女の人で知らない人はいないほど地域に根差す銘柄ながら、全国区では通好みという稀有なお酒です 周りの酒蔵が純米酒や本醸造を多く造る中、吟醸・大吟醸の酒づくりにこだわり、今でも醸造全体の約4割が大吟醸をつくっている高橋商店。 中川社長: それを機に東京に販売拠点を移したわけではなく、それから約半世紀経った現在も卸先の90%は九州という、ご当地日本酒の道をまっすぐ歩む高橋商店。 しかし、地元に根付く酒蔵ならではの悩みも。 「地元で楽しんでいただくために八女の生活に合わせた価格にしていますが、九州の外に出るとすごくお手頃と言われます。 「酒づくり」というのは、酵母菌という生き物や自然環境を相手にする仕事です。 一方、職人の技術が『繁桝』の味や品質を守り継ぐ点において必要不可欠でもあります。 新築した「麹(こうじ)室」は、全て木製。 技術・文化の継承を大事にするため、職人の育成もしっかりと考えている中川社長。 「長年の感覚でしか生まれない判断力というのはあります。例えばうちでは一斗瓶を手で洗います。匂いがとれるまで何度も洗います。洗えたと思ってもベテランの職人は匂いを感じとります。毎日の繰り返しで鼻が鍛えられ、わずかな匂いの差がわかるようになります。 「今の『美味しい日本酒』は、いかにフレッシュで、雑味がないかといった狭い幅の判断基準です。ワインのような多様性はあまり認められません。」 季節に合わせたお酒の楽しみ方の変動はありますが、味の判断基準の幅が狭いままでは、日本酒業界が衰退してしまうのでは、と中川社長は危惧しています。 「日本酒にもワインのように『何年モノ』『熟成酒(ビンテージ)』のような概念があれば、もっと年中、またいろんな場面で日本酒が楽しめるようになるはずです。 5年、10年と熟成させることで、味わいも旨味も香りも違う日本酒の新しい魅力を広げたい。それが中川社長、繁桝の目指す日本酒の未来です。 創業:享保2年(1717年) 会社設立:大正15年4月 〒834-0031 TEL:0943-23-5101 FAX:0943-22-2344 営業時間:8:30~17:00(平日) 定休日:土・日・祝日 公式サイト:http://shigemasu.co.jp『地元を愛し、地元に愛されること』
「私たちのお酒は、地元・八女に育てられた味です。八女のお客さまからの声に応えながら、酒づくりを進化させてきた結果、今の繁桝があります。
八女の人たちは、意見をよくくださるんですよね(笑)
造り方などは変えませんが、味はお客さまの意見を聞いて変えます。だから、繁桝は八女のごはんに合うお酒になってます。」『JALのファーストクラスで
取扱われた実績』
15年ほど前「日本酒と言えば米処の新潟」という印象がまだ強かった時代、JALの国際線機内で取扱われる大吟醸として「箱入り娘」が選ばれました。(当時、日本で2銘柄のみ)
「そこで一気に東京でも名が広まりました」
それだけなら良いのですが、『酒の質も安い』と思われることもあるので、値段=味の良し悪しではない。と知っていただきたいです。」『時代に合わせたつくりかたを』
なので、昔は仕込みがはじまると「泊まりこみ」や朝から夜通し働くことが当たり前とされていました。でも、それでは現代の働き方に合いません。
現代の働きかたに合わせ、もろみの温度管理、こうじ室内での麹の温度管理、日本酒度やアルコール、香りの数値化管理など、科学的分析(数値化)が要る部分や単純作業、衛生配慮が要る部分は機械を導入して、効率化、従業員の負担軽減を実現しています。
「なるべく同じ人員が作業を一貫して行えるように調整し、品質、価値を守っています。職人の力が必要な部分には人手を増やします。効率だけを追ったのでは、繁桝ではなくなるというのもわかりました。」
「ステンレスの方が手入れは簡単です。でも、木は適度に湿気を吸ってくれるという利点と、手入れをきちんとしないといけない。手入れを怠らないことで、職人としての感性も磨かれていきます。」
将来的に「手造り」できる人間がいなくならないよう省かない手間もあるのです。
香りを測る機械は入れてますが、それに最初から頼っていては職人の感覚が養われません。」『日本酒業界に新しい価値を
:ビンテージ』
大吟醸、吟醸、純米酒…と日本酒にも種類はありますが、ワインのように食前から食後まで料理に合わせて日本酒を出すという楽しみ方は、まだそこまでされてないと思います。
でも、料理ごとに合わせる日本酒ができれば…
『メインの赤身肉にはビンテージの吟醸』といったように、コース料理のお皿ごとに日本酒を合わせることも出来るはずです。」現場でのこだわり
利き酒をして
味をチェック。
酒蔵情報『繁桝』
株式会社 高橋商店
福岡県八女市本町2-22-1
旭菊
7個の商品
酒蔵が集まる酒処、久留米市城島町にある「旭菊酒造」は1900年創業。 原田 頼和さん: 三代目(頼和さんのお祖父さん)は杜氏ではなく、父 憲明さんの代からの蔵元杜氏。その理由を尋ねると 「その時の杜氏が病に伏せられて。『父が杜氏になるならいい』と言われてなったそうです。」 とはいえ、それまで酒造りをしてきたわけでもない原田社長は、師をもたず一から独学で酒造りを覚え、今に至ります。 2010年5月、原田社長が杜氏になりたての頃の大変さを物語る逸話にもなり、頼和さんが旭菊に戻ってくるきっかけとなる大事件が、旭菊酒造に起こります。 頼和さん: 道具も麹室も全て焼けてしまった大火事でした。 「杜氏になった時の方がよほど大変だったようで(笑)火事で焼けたけど、酒の造り方は父の『頭に全部あるから。』と言ってました。」 とはいえ、全てを失った酒蔵を再生するために戻るのは並大抵の覚悟ではないはず。 「家業だから、というのもありますが、火事があったことで初めて周りの評価を知ったんです。こんなに求められていたのなら守らないと、と。 食事に合わせて、というより「食事をより引き立てる」日本酒であるために、旭菊酒造は『主張しすぎない』酒造りを心がけています。 頼和さん: 冷やして飲む、フルーティな香りを楽しむ。日本酒のイメージも新しく変化している中、旭菊酒造が考える日本酒の原点とは? 「お酒単体で楽しむより、食事と合わせることで酒がすすむと思っています。それにより会話も弾み、食事を楽しくする空間になる。食事の時間って、日々の疲れをいやす一時でもあると思うんです。その大切な時間をもっと楽しくする役割。お酒は、主役の食事を際立たせる脇役的な存在だと考えています。」 旭菊酒造のお酒は、自らが強く主張するような存在ではありません。 「1つの蔵で多種のお酒を造られる時代ですが、1本のお酒でも温度帯、食事との相性で味わいが変わります。お酒によっても美味しく感じる温度帯が違うので、奥が深くどんどんハマる世界です。」 冷たくひやして飲むお酒が増える中、旭菊酒造のお酒は『ぬる燗』や『熱燗』で飲むことも勧めています。 「もっと日本酒を楽しめると思います。お米は温かく調理して食べますよね?米から造られる日本酒も、温かくすることで味わえる美味しさもあるんです。」 旭菊酒造のお酒はどうやって飲むのが美味しいですか? 『綾花(あやか)』は、地元の山田錦で造った優しい味わいのお酒です。 ある程度お酒を飲まれる方には、『大地』をおススメしています。 『大地』は、福岡県糸島産の無農薬栽培の山田錦で造っています。 最近はレンジで簡単に燗をつくる方法がありますが、温度が一気に上がるレンジよりは湯煎に陶器のとっくりで温めるのが、やっぱりオススメと話す頼和さん。 創業:明治33年(1900年) 会社設立:昭和27年 〒830-0115 TEL:0942-64-2003 FAX:0942-64-2403 営業時間:9:00~17:00(平日) 公式サイト:https://asahikiku.jp/『蔵元杜氏ならではの、
筋の通った酒造り』
現在、四代目蔵元(代表取締役社長)の原田憲明さん(以下、原田社長)は杜氏でもあり、息子である頼和さんも酒造りの現場に親子で立っています。
「今でこそ、蔵元杜氏という酒蔵はいくつもありますが、父が蔵元杜氏になった時は全国的にも珍しかったでしょうね。親子で酒造りに携わっているという蔵もそんなに無いでしょうね。
目指す酒を造り、販売まで思いを共有出来るのは、蔵元杜氏のうちの強みといえます。家族経営の小さい蔵ですが、だからこその風通しの良さもありますね。」『こんなに求められていたのか、
と知れた出来事』
仕込み蔵が全焼する火事でした。
「父からは特に蔵を継げ、とは言われたことはありませんでした。『継ぐもんだ』とは漠然と思っていましたが、東京農業大学の醸造科に通い、卒業後も家業にはすぐ戻らずに酒以外の業界で働く予定でした。それが、4年生の時に火事があり戻らなきゃ!と、これは『戻れと神様から言われている』と思いましたね(笑)」
蔵にとっても、私にとっても、あの火事は『転換期』だったと思っています。」『食事を際立たせる
脇役としての日本酒』
「時代の流れに逆らって、はみ出そうとしたわけではないのですが、昔ながらの酒造りを貫いている結果、少し特異な存在にはなってますね。」
お酒のみを楽しむというより、食事と合わせることで印象が変わります。『温度帯と合わせる食事で
味わいが変わる日本酒』
日本酒をあまり飲んだことがない方には、こちらがオススメですね。
『綾花』を飲んで日本酒を好きになりました。という声もあるほど飲みやすいお酒です。
冷やしても美味しいですが、ぬる燗〜上燗(45度)が『綾花』に適した温度です。
味は日本酒らしい辛口で、酒単体と言うよりも食べ物と合わせて飲んでいただくと真価を発揮するお酒だと思っています。
温度帯によって変わる味わい、お料理に合わせた温度帯、同じお酒でも味わいが変化する日本酒の奥深さは、こだわればこだわるほど沢山の味を楽しめる世界です。
一手間かけて燗をつくり食事の時間をより楽しんでください。現場でのこだわり
温めて美味しいお酒を造る。
昔から変わらない日本酒を貫く。
酒蔵情報『旭菊酒造』
株式会社 旭菊酒造
福岡県久留米市三潴町壱町原403
花の露
3個の商品
延享2年(西暦1745年)、江戸時代中期創業の酒蔵・花の露。 代表銘柄「花の露」は中国の古詩で美酒を讃える際に使用される「花露」の雅語に由来します。その受賞歴も華々しく、平成23年度酒類鑑評会の純米酒部門では最高賞を受賞。 一般的に広く好まれる辛口の日本酒とは一線を画し、ほのかに甘く、ふくよかな味わいが特徴です。 Master 2020の純米酒部門では金賞を受賞するなど国内外で高い評価を得ています。 冨安社長: この土地に調和するお酒とは? 「この土地の食べ物によく合うお酒です。いわば料理の引き立て役ですね。 九州の料理は北の地方に比べ、やや甘めの味付けが好まれます。味噌も醤油もこの土地のものはやや甘い。それはこの土地の風土や気候、人となりが生み出したこの土地ならではの特徴です。 暖かい地域で造るお酒はその素材や気候上、辛くなりにくいといいます。 日本酒離れが進む昨今。 冨安社長: おすすめの飲み方はありますか? 「そのままでも美味しく召し上がれますが、今の時期(取材当時11月下旬)は旬のカボスやゆずを少し絞って飲むと一風変わって美味しいです。酸味を足せば洋風料理との組み合わせも悪くない。私はフルーツ系のお酢を少し足して飲むこともあります。社長がこんな提案をして良いのかな?(笑)でも、日本酒は自分のお気に入りの飲み方を工夫しても楽しいんですよ。」 とても自由に飲まれているんですね。 「もちろん。好きに飲んで良いんですよ。私は日本酒をロックで飲みもしますが、少しぬるくして飲むと、なお美味しい。寒い時期は体もあたたまります。」 花の露は料理に合うよう設計された日本酒で、香りは控えめ。香りが料理の邪魔をしないので、さまざまなアレンジが楽しめます。 日本酒は時代の変化に伴い“日常酒”としての親しみが薄れ、特に若い世代には日本酒のプレミアム志向が高まっているといいます。 冨安社長: 冨安社長: 若い世代にもカジュアルに楽しんでほしい。しかし、昔のように日常の中で日本酒が求められるシーンは減ってきたーー 冨安社長: 冨安社長は、世間の流行に乗ることでこの土地の恩恵や人々の暮らしを無視するようなお酒を造ることはできないといいます。 「しかし日本酒が昔ほど人々の暮らしに馴染んでいない現実があります。そこで蔵として、”現代の暮らしにも馴染むお酒とは何か”を考え、これまでの日本酒造りの知恵と経験をもとに、新たな商品開発にも挑戦するようになりました。」 現代の暮らしに蔵が提案したいお酒とは? 冨安社長: どのような特徴がありますか? 「林檎梅酒は、純米酒をベースに造った梅酒にりんご果汁をたっぷり加えたものです。爽やかな酸味と甘みが絶妙なバランスの仕上がりになりました。 そのほか城島町で育った山田錦と赤紫蘇を使用した本格焼酎「山の香」や、山の香をベースに作られた梅酒「しそのかほり」など日本酒以外の商品も多数展開しています。地元で長年愛されてきた日本酒をベースに、現代の暮らしの中で求められるお酒造りを模索しています。 「創業から280年余、花の露はここ久留米市城島町の豊かな自然を十二分に活かし、「この土地の暮らしに調和するお酒を造る」という思いを軸に酒造りの歴史を重ねてきました。 酒どころの老舗の名に恥じないどっしりとした身構えで信念を貫く一方、現代の人々の暮らしに寄り添うお酒の在り方を追求し、提案を重ねていくフレッシュさも兼ね備えています。 冨安社長: 「しかし日本酒は本来日常酒として、とてもカジュアルに楽しむもの。わたしたちはこの土地の暮らしに調和するお酒を造り続けながらも、これまで培ってきた蔵の知恵と経験をもとに、現代の暮らしに寄り添ったお酒の提案もしていくつもりです。」 蔵の信念を貫きながら、進化をやめない老舗酒造・花の露。蔵の挑戦が、日本酒の未来に大きな花を咲かせてくれることを期待しています。『この土地の暮らしに
調和するお酒を造る』
また、フランス・パリ開催のKura Master 2020の純米酒部門では金賞を受賞するなど国内外で高い評価を得ています。
「蔵が目指すところは、この土地の暮らしに調和するお酒を造ることです。」
土地の素材でつくれば、自然と土地の食べ物に調和する味になります。わたしたちのお酒は城島町の自然の恩恵を得たものですから、必然的にこの土地の食べ物に合うやや甘めのふっくらした味わいお酒になりました。」
この土地で生まれ、この土地の暮らしの中で求められるお酒こそ、「この土地の暮らしに調和するお酒」だと冨安社長は考えます。希少な日本酒だけが
『本物』ではない。
その理由として、日本酒に「希少性」や「敷居の高さを感じる」との声も少なくありません。しかし日本酒は本来、ウイスキーやビール同様カジュアルな存在だと冨安社長は考えます。
花の露の日本酒は日常の中で、どのように愉しむことができるのでしょうか?
「花の露の日本酒は、九州の家庭料理に特徴的な甘めの味付けにぴったりとはまります。
例えば九州のお醤油で甘辛く煮たお魚や、麦味噌を使った白和え。肉じゃがやひじきの煮物、そして甘めの九州醤油でつまむお刺身にもよく合いますよ。」『現代の暮らしに寄り添う
お酒の提案を』
それは「日本酒は希少なものこそ美味しい」というブランディングが先行し、高価なイメージが刷り込まれていった背景もありますが、ひとえに日本人の食生活と生活様式の変化が大きいと冨安社長は考えます。
「まず食生活の変化により、日本酒が現代の食事に合わせにくくなりました。
フレンチやイタリアンにはワインが合いますし、焼き肉や揚げ物料理にはビールが飲みたくなる。日本酒のお供には煮物や白和えなど昔ながらの家庭料理が合いますが、その家庭料理すら、もはや一般的ではなくなってきました。」
「もうひとつ、男女の働き方の変化も大きいのではないでしょうか。
かつては仕事から帰ってくる夫のために、妻が晩酌として日本酒を用意するという光景が文化としてありました。現代は夫婦共働きで、夫も妻も忙しい。さらに若い世代の傾向として、昔ほどお酒にお金をかけない方向に意識が変化してきたようにも感じています。」
このように人々の暮らしが変化していくなかで、花の露は酒蔵としてどのような提案ができるのでしょうか?
「まず、私たちは創業から今までこの土地の恩恵を得て、この土地の暮らしに調和するお酒を造り続けてきました。世間でどのようなお酒が流行っても、この基本を忘れることはありません。」
「日本酒は高価というイメージをお持ちの方や、度数が高いお酒に抵抗がある方にも気軽に手にとっていただけるよう、花の露の日本酒をベースにしたリキュールや梅酒を造りました。」
原材料がレモン、米麹、砂糖のみで造られるレモネーゼは酵素たっぷりで、美容や健康意識の高い女性に人気があります。」『時代の変化を受け入れながらも、
蔵の信念を貫く姿勢を』
「日本酒は“着物”のような存在になりつつあります。
かつて普段着だったものが、現代ではほとんど着る機会がなくなってしまいました。日本酒もまた、人々の日常から離れつつあります。」現場でのこだわり
酒蔵情報『花の露』
比翼鶴
3個の商品
明治28年に久留米市城島町で創業し、100年余りの歴史を刻んできた比翼鶴酒造。 比翼鶴酒造・常務取締役 二ノ宮 啓輔さん(以下、二ノ宮さん): 酒造りの盛んなこの土地で、『やっぱり比翼鶴さんの酒がいい』と言う地元の方もいると聞きます。 「照れますが、そう言っていただけるとうれしいですね(笑) 銘酒「比翼鶴」は縁起の良いものとして「ハレの日」–特別な日– に選ばれるお酒でもありますが、「ケの日」–普通の日常的な生活– にも寄り添うお酒であるといいます。 二ノ宮さんにとって“日常に寄り添うお酒”とは、どのようなお酒のことでしょうか? 「比翼鶴は日常酒として、熱燗や冷酒、どのような飲み方をしても美味しく飲めるように設計しています。しっかりした酒質で味わいにクセがないので、多くの方にとって飲みやすいと感じていただけると思います。 料理にも使って良いのですか? 「はい。例えば、ご飯を炊く際に少し日本酒を加えると香りが立ち、甘みが増してふわっとした仕上がりになります。お魚やちょっとした煮物にも、日本酒とお砂糖とお醤油で美味しい一品ができます。保管は暗所であれば常温で台所にドンッと置いていただいてかまいません。ぜひ、普段のお料理にも活かしていただきたいです。」 銘酒「比翼鶴」は安定した美味しさと手頃な価格から、お祝いごと・晩酌・毎日の料理にと、この土地に住む人々の暮らしのあらゆるシーンに溶け込み、地域になくてはならない存在になりました。 地元の方々の“日常に寄り添うお酒”として、手の届きやすい価格で、いつでも手に入る銘柄であることも大切だと語る二ノ宮さん。 「原料は主に、安定して調達できる地元の素材を使っています。お米は地元の福岡で育ったもので、水は筑後川の伏流水を地下200mから組み上げたもの。特別なものは使っていません。昔から身近にあるもので、安心できる素材です。」 比翼鶴酒造の酒造りは、少数精鋭で行います。少ない人数で、安定した供給を続けることは可能なのでしょうか? 「私や従業員の誰かが欠けて供給が止まることのないよう、営業も事務も全ての従業員が酒造りのノウハウを持っており、みんなが造り手です。昔は人の手がかかっていた作業も、最近は機械で効率よく作業することができるようになりました。おかげさまで、少ない人数でも安定した供給を続けられています。」 100年以上続く基本の製法に忠実でありながらも、時代の変化に沿い、作業の外注や機械の導入も取り入れます。しかしコストを抑えるために、味に妥協することはありません。 「お客様に手にとっていただきやすい価格と供給を実現できるよう、酒造りをする上での変なこだわりや作業の無駄は省いていきたいと考えています。同じ価格帯のお酒なら、絶対負けないという気持ちで酒造りをしています。」 これまで全国規模のPRを行なった経験がないという銘酒「比翼鶴」。現在のお客様のほとんどが地元の方だといいます。 「こだわろうと思えば、希少な原料を取り寄せて特別なお酒を造ることもできるでしょう。しかし私たちが一番造りたいお酒はやはり、この地で100年以上親しまれてきた「日常に寄り添うお酒」です。これからも地元の方々に変わらない味を楽しんでいただくことはもちろん、より多くの方々により良いお酒を手頃な価格で味わっていただく機会を増やしたいと思っています。」 特に日本酒に馴染みがない若い方々に、日本酒の楽しみ方から伝えていきたいと語る二ノ宮さん。昨今、通信販売やSNSにも積極的に取り組み始めました。 銘酒「比翼鶴」は日々変化する日本酒文化の未来の展望に翼を広げ、より多くの人にその魅力を伝えるべく、今、大きく羽ばたこうとしています。 創業:明治28年(1895年) 会社設立:大正8年(1919年) 〒830-0204 TEL:0942-62-2171 FAX:0942-62-2173 営業時間:8:00~17:00(平日)『夫婦鶴のように、
日常に寄り添う日本酒を』
代表銘柄である「比翼鶴」は地元でその名を知らない人はいないほど、長年地域に親しまれてきた銘酒です。
「比翼の鶴とは、雌雄一体となって飛ぶ夫婦鶴のことです。この名前が表すように、私たちの造るお酒が皆様の日常にそっと寄り添い、めでたい日もそうでない日も、大切な誰かと酌み交わしていただけるお酒であってほしいと思います。」
私たちは昔ながらの素材と製法に忠実に、変わらない味を造りつづけています。地元の方々に、リーズナブルで美味しい日本酒を安定してお届けし続けることを目標にしています。」『日常酒として、
地元の人々に愛され続ける理由とは?』
飲むだけでなく、料理酒としてもすごくおすすめです。」創業以来繋いできた
「より良いお酒を手頃な値段で」
という想い。
その酒造りのこだわりをお聞きしました。『大切な人と、
ゆっくりと
楽しんでいただける日本酒を』現場でのこだわり
良質なお酒を手頃な値段で
人々の日常に寄り添うお酒を
酒蔵情報『比翼鶴酒造』
比翼鶴酒造 株式会社
福岡県久留米市城島町内野466-1